最終更新日 2017年1月15日

2.ロボット2号機  (個別作品ページ)

kazutaka nagai


< 各画像をクリックすると大きな画像が開きます >
< オレンジ色の文字列をクリックし、「ファイルを開く」でリンクが開きます >

工作過程の詳細は、ブログに掲載していますので是非お立ち寄りください   http://blog.livedoor.jp/kazutaka_nagai/



 

  テーマ 

安価な部品と無償の労働力により、高機能のロボットを最低限の費用で自作する 戦闘用ではなく、様々な動作をさせて楽しむ

  特    長

〇千円サーボと評価版マイコンを使い、製作費用は約3万円 〇自由度23(足4x2 腕5x2 腰2 頭部3)で、指も動く高機能 〇二足歩行ほか様々な動作が可能、目に2色のLEDを装備 〇マイコン・XBee・液晶装備の送信機で無線操作、モーションモードとテストモードなど4モードを装備 〇音声合成LSIを搭載し、自在な発声が可能

  諸    元

身長:43 cm 体重:2,251g 構造:0.7~1.5mm 厚 アルミ製 サーボモーター:「MG996R」等 23サーボ 電源:「eneloop pro」 1.2V x 5および 単4乾電池1.5V x 2 マイコン:STマイクロ社「STM32VL」 無線モジュール 製作年:2014~2016


 1.全体の構造


本体は、脚部・股関節部・胴体部・腕部および頭部からできています。素材はほとんどがアルミ で、胴体のみエンビ板です。アルミの厚さは、1.5mm・1mm・0.8mmを使っています。300x400mmの大きな板から切り出し、折り曲げ、穴を開けて2mm径のネジとナットで留めています。一部、タップでネジを切ったり、指の入らない狭い部分では、カレイナットを使っています。

 

関節部は、サーボとブラケットならびにアームで連結しています。反対軸には、3mm径のネジをシャフトとして使っています。軸受には合成樹脂ブッシュを使用しています。足首・腰など一部の関節は、ロッドでつないだリンク構造としています。

 

情報源:「世界の定番ARMマイコンSTM32ディスカバリ」島田義人著(CQ出版)

    「STM32マイコン徹底入門」川内康雄著(CQ出版)

    「60日でできる! 二足歩行ロボット自作入門」 吉野耕司著(マイナビ)

 

 


 2.サーボモーター


 型 名 MG996R SG92R
メーカー  Tower Pro  Tower Pro
 トルク  9.4kg/cm  2.5kg/cm
重さ  55g  9g
スピード  0.17s/60°  0.1s/60°
サイズ  40.7x19.7x42.9  23x12.2x27 
価格 1,089円 500円
使用場所  主要部 18  頭部 3 指 2

サーボモーターは、2種類23個を使用。合計重量は1,035gで、体重の約半分を占めています。

画像① 2号機の主要サーボ「MG996R」です。低価格サーボとしては高トルクですが、さすがに足回りではトルクが不足気味です。対応策としてリンクを多用し、ヒザ関節は輪ゴムで補強しています。サイズも少し大き目です。サーボのサイズでブラケットの大きさが決まり、ブラケットのサイズにより各部の設計が制約を受けます。2号機の足と腕が太いのはこれが原因です。

 

画像② マイクロサーボ「SG92R」です。頭部の3軸と両手の爪の開閉に使用しています。小さいのにトルクがあり、動作も正確です。 

 

画像③ MG996Rの「正規品」です。当初購入したMG996Rは、小さな角度変化の指示に追随できない、正確なニュートラルに戻らない、などの問題がありました。後から購入した「正規品」は非常に高性能で、上記のような問題は全く発生していません。後日、下半身の10個のサーボを「正規品」に交換しました。資金があれば、他のサーボも交換したいと思っています。


 3.サーボブラケット


2号機の体は、サーボとブラケットおよびアームでできているとも言えます。

画像① サーボブラケットは、アルミ板を使い、浅草ギ研風のものを自作しました。インターネットで様々ブラケットを拝見、検討した結果、左の図面のとおりとしました。サーボ同士の連結を考慮し、ブラケット本体の長さを57mm、アームの長さを同じ57mmに、アームの半径は半分の28.5mmとしました。

 

画像② 基本形のブラケットとアームです。アルミは、箱型にすると強度が増します。当初、すべて1.5mmで製作しましたが、後日の軽量化対策で、ブラケット本体を1mm厚で作り直しました。アームは1.5mmのままです。

 

画像③ 踵と腰に使うブラケットです。この部分は出力軸の隣に足裏等からのアームを取り付ける軸が必要なため、サーボの上部にもブラケットを設けています。

 

画像④ ひざ用ブラケットです。ひざ関節のピッチ軸サーボは2つで一組なので、専用のコンビブラケットを作製しました(画像の左側、右にあるのは肉抜き前のものです)。

 

画像⑤ 股関節ならびに ⑥ひじ関節用のブラケットです。いずれもピッチ軸とヨー軸の2つのサーボを直交させたコンビブラケットです。

画像⑦ 腕ロール軸用のブラケットです。肩ピッチ軸につながる直交軸が必要なため、変わった構造となっています。


    ④


 4.脚部の構造


脚部は、足首のロール軸・ひざのピッチ軸Wサーボ・腰のロール軸の4軸からなります。

画像① 足首サーボとブラケットです。前後のネジシャフトに足裏アームを、左右のネジシャフトに脚部アームを連結しています。内側には、サブアーム用のネジシャフトがあります。足首にはトルクが必要なので4節リンクとしています。駆動アームを短く、被駆動アームを長くしてトルクアップを図っています。出力軸の動作角と足首の動作角度が違うので、データ作りは面倒です。実際に動かして確認し、モーションデータに反映させています。

 

画像② 腰サーボとブラケットです。腰部分の基本的な構造は足首と共通です。左右のネジシャフトに脚部アームを、前後のネジシャフトに股関節プレートから伸びているアームを連結しています。足首と同じく4節リンクですが、リンクを強化するため、駆動アームを両持ち構造としています。これの効果は大きく、腰サーボのガタがなくなり、安定した動きとなりました

 

画像③ ひざ関節コンビブラケットにサーボを装着しました。上が脚(太もも)用、下が足(すね)用サーボで す。それぞれの出力軸と反対軸に、上下の脚部アームを取り付けます。

 

 画像④ 脚部アームは、1.5mm厚16mm幅です。試行錯誤でこのサイズにしましたが、必要十分な強度がありま す。上下は対象形で、部品はほぼ共通です。

   

画像⑤ 脚部の全景です。脚部アームと腰サーボならびに足首サーボとの連結は、フリーアームです。Pen4号に習い、脚部アームはL字型としました。これによりひざの可動域が確保され、正座させることができます。ひざはトルクが不足気味で、2号機の最大の弱点です。将来はリンク構造にして、トルクアップをしたいと思っています。

 

 画像⑥ 脚部の内側です。見えにくいですが、脚部アームとサブアームで平行リンクの構造を作っています。これにより腰サーボ・ひざサーボ・足首サーボが常に平行・水平になります。 



 5.股関節の構造


画像① 股関節は、ヨー軸とピッチ軸の2軸構造です。股関節プレートは、胴体と脚部をつなぐ重要な骨格なので、1.5mm厚アルミで頑丈に作製しました。左手から逆L字形に立ち上がっているのはヨー軸用のアームで、股関節用コンビブラケットをここに装着します。ヨー軸の軸受けは、プレートに3mmの貫通穴を開け、下からアルミ片をネジ留めしてしてへこましています。プレートの前後は腰サーボに連結するアームで、股関節プレートと一体構造となっています。

 

 画像② 股関節コンビブラケットに、ヨー軸サーボとピッチ軸サーボを装着しました。手前がヨー軸サーボで、チラッと見える直交軸には、胴体から伸びるフリーアームを取り付けます。奥がピッチ軸サーボで、胴体とリンクでつなぎ、胴体を前後に傾けます。

 

画像③ 股関節の実際の様子です。股関節プレートから立ち上がったアームにヨー軸サーボの出力軸を連結し、左右のネジシャフトで胴体と連結しています。ヨー軸サーボの後ろがピッチ軸サーボで、胴体につながるアームにリンクで連結しています。


 6.腕部の構造


2号機の腕部は、肩ピッチ軸とロール軸、ひじヨー軸とピッチ軸、爪ピッチ軸からなります。

画像① 肩ピッチ軸サーボです。肩ピッチ軸は、当初「片持ち」(サーボの出力軸1か所で次のサーボと連結し、支える)とする計画で、スラストベアリングを使って連結してみましたが、うかくいかず断念しました。腕が重いのかサーボの剛性不足なのか、出力軸がたわんでしまいます。そこで、専用金具を作成し「両持ち」にすることにしました。

 

画像② 肩ロール軸サーボのブラケットを先に取り付けます。肩関節は構造が複雑で、ネジ締めの順番を誤ると組み立てられません。まず、ロール軸ブラケット(3-⑥参照)の直交軸の内側に、サーボホーンを取り付けておきます。ホーンのネジ4本は、直交軸の反対側に開けた4つの穴から、細いドラーバーを差し込んで締めます。次に、ピッチ軸サーボの出力軸をホーンに差し込むようにして、ロール軸ブラケットを取り付けます。出力軸のネジは、反対側のネジ穴からドライバーを差し込んで締めます。次に直交軸金具の反対軸(3mm)を取り付けます。

画像③ 最後に肩ロール軸サーボを装着し3mmネジ4本で固定します。ピッチ軸の両持ち金具を後方に持っていったので、ピッチ軸は前方90°と後方30°、ロール軸も90°までの動作が可能です。

 

画像④ ひじ関節はピッチ軸とヨー軸の2軸構造です。左の画像がひじのアームです。左が上方で、肩ロール 軸サーボを取り付けます。右が下になり、ひじヨー軸サーボを取り付けます。 

  

画像⑤ ひじ用コンビブラケットにサーボを装着しました。右が1mm厚の新作ブラケットで、左は1.5mmの旧型です。奥がヨー軸サーボで手前がピッチ軸サーボです。ヨー軸サーボは横向きで、正面から見て左右非対象です。出力軸を腕の中心軸に合わせると、アームとの干渉により稼働範囲が左右で異なりま す。人間のひじと同じように内曲げを優先し、ヨー軸サーボの長い辺を外側にしました。

 

画像⑥ ひじコンビブラケットをアームに装着、肩関節に連結し、指につながるアームを取りつけると、腕の形になりました。 


 7.手の構造


画像① 2号機の手は、1mm厚の細長いアルミ板を「U」の字型に折り曲げた構造です。裏表の間隔は、間に爪を動かすマイクロサーボSG92Rを挟むのにちょうど良い20mmとしています。展開図に従い、材料を切り出しました。

 

画像② 右手を折り曲げました。小さくて内部が狭いので大変です。右側が指の先端です。床に接触させて滑らせるため、曲面にしています。裏表をつなぐ側壁は、軽量化のため少な目にしたので、中が見える開放的な構造です

 

画像③ サーボに爪部品を取り付けました。爪の取付は片持ちですが、想像していたよりもしっかり固定されています。サーボを本体に取付けるためのプレートを装着しています。

 

画像④ 組み立ての準備ができました。プレートごと指部本体にネジ留めします。

 

画像⑤ 左手が完成しました。この状態で重量は40gです。 


    ④

    ⑤


 8.胴体の構造


 画像① 胴体は2層構造で,1F部分には1.2v充電池5本と1.5v乾電池2本を、2F部分にはパルス分配基盤とマイコンを収めます。胴体の骨格は、ひらがなの「ひ」の字型に曲げたアルミ板と2階の床板です。 エンビの胴体に直接力がかからない構造にしています。

 

 画像② 2階の床板です。「ひ」の字型の部品の両端をこれで連結して剛性を確保し、両側に肩サーボを乗せる構造です。軽量化のため不要な部分をカットしたので、変な形になっています。

 

 画像③ 胴体の外殻です。1mmのエンビ板製で、エンビ専用接着剤で接着しています。両側の四角い穴は肩サーボのスペースです。2階床板を出し入れするため、手前側に床板の断面に合わせたスリットを設けてあります。前方の丸い穴はスピーカー用、後方の長い穴は電池室の入口です。

 

画像④ 胴体上部はエンビ板で別に作製し、上からかぶせる構造としました。この上に頭部を固定します。

 

画像⑤ 「ひ」の字型の部品と股関節ピッチ軸のアームを重ねて胴体にネジ留めしました。内側は電池室床となるので、引っかからないように皿頭ネジを使っています。

 

画像⑥ 2階の床板を挿入しました。両端は「ひ」の字型の部品にネジ留めしてあります。ここに肩サーボが乗ります。 


    ④

    ⑤

    ⑥


 9.目の構造


2号機の目は、黒目(不透明)と周囲の半透明部品、その後方の発光機構からできています。 

画像① 黒目と半透明部品は、週刊組立マガジン「ロビー」創刊号からの流用です。黒目の後ろに赤と緑のLEDを備え、黒目の周囲を光らせます。

 

画像② 1つのLEDで黒目の周囲を均等に光らせるため、やや複雑な構造となっています。LEDから前方向に出た光が黒目の裏に取り付けた反射板2で90°外側へ反射し、さらに反射板1で90°反射し、黒目の周囲から前方向へ照射されます。反射材は、アルミをコーティングした菓子袋を流用しています。

  

画像③ 画像は目を構成する全部品です。一番上は目の外殻となる塩ビの筒とLED、2段目が黒目、3段目が反射板1、一番下が反射板2です。

 

画像④ LEDと反射板1を取り付けた状態で、後ろから見た画像です。赤と緑の2LEDなので、配置は中心から微妙にズレています。

 

画像⑤ 無事に点灯しました。 


    ④

    ⑤


 10.頭部の構造


頭部は、3軸(ヨー軸・ピッチ軸・ロール軸)の動作機構の上に、頭部外殻を乗せた構造となっています。頭頂部は、週刊組立マガジン「ロビー」創刊号から流用です。

画像① 顔の部分を1mm厚エンビ板で作りました。平面を立体にするのは結構大変で、なかなか思うような形状になりません。

 

画像② 頭頂部にアルミで作ったステイをネジ留めし、これに顔と目を固定しました。

画像③ 頭部外殻ができました。

画像④ 頭部動作機構の図面です。

 

画像⑤ 頭部動作機構の部品です。3軸可動なので、複雑で部品も多くなりました。ブラケットとアームは1mm厚アルミで、かなり華奢な造りです。

 

画像⑥ 動作機構を組み立てました。サーボは「SG92R」です。下段の前がピッチ軸、後ろがヨー軸、上段がロール軸用です。この後、上段のブラケット側面に頭部外殻のステイをネジで固定しました。

 

画像⑦ 完成した頭部を胴体上部に設置しました。頭部の重量は、胴体上部フタだけで支えています。


    ④

    ⑤

    ⑥

   ⑦


 11.電子部品と配線


2号機には様々な電子部品を搭載しています。

画像① 本体と送信機の配線図です。

 

画像② マイコン「STM32VL」です。本体と送信機それぞれに1機搭載しています。当初はAVRマイコンの「ATmega644P」を使っていましたが、秋月電子にて入手困難になったため、ARMマイコンに乗り換えました。

型名:STM32Value line discovery メーカー:STマイクロ社  クロック:24MHz

フラッシュ:128Kバイト RAM:8Kバイト

1,200円と安価ですが、最新の32ビットマイコンでメモリーが大きく、使い勝手がよいので気に入っています。パソコンでプログラムを作成し、USBケーブルでつなぐだけでダウンロードできます。

 

画像③ パルス分配基盤です。「74HC238」という 3 to 8 デコーダーを使い、マイコンの7つのピンで24個までのサーボをコントロールできます。基盤は自作で、デコーダー3個とサーボ接続用ピンとして6ピンx12個(1サーボに3ピン使用)、通電表示用LEDを装備しています。「74HC238」は耐圧が5Vのため、6V電源から3.3Vを作って供給しています。メイン電源は、起動時の電圧低下でマイコンがリセットするのを防ぐため、IC用・右半身サーボ用・左半身サーボ用の3つに分割しています。  情報源:「STM32マイコン徹底入門」川内康雄(CQ出版社)

 

画像④ 液晶モジュール「ZY-FGD1442701V1」です。送信機に使用し、操作画面を表示します。アイテンドーから入手しましたが、その後販売中止になったようです。 

 

画像⑤ 無線モジュール「XBee ZB」です。左側(wireタイプ)とアンテナは送信機用で、真ん中(U.FLタイプ)は本体で使っています。本体と送信機の間で、USART経由で文字列をやり取りします。「ZB」は、XBeeシリーズの中でも廉価版ですが、感度抜群で高性能です。かなり乱暴に扱っていますが、なかなか壊れません。  

 

画像⑥ 音声合成基盤です。音声合成LSI「ATP3012F6-PU」(株式会社アクエスト)を使い、マイコンからUSART経由で送るローマ字表記の文字列をリアルタイムで発声します。アクセント記号などを使い、自然で滑らかな音声が得られます。 

 

画像⑦ スピーカー「S28G10K15」です。胴体の前面に設置し、音声合成基板からの音声データで発声します。十分な音量ですが、重さは7gしかなく、軽量化に貢献しています。 

 


 12.送信機


画像① 送信機は、マイコン「STM32VL」、液晶モジュール「 ZY-FGD1442701V1」、自作

スイッチ 基盤、線モジュール「XBee」、外部アンテナ、充電池4本などなどからできて

います。タクト スイッチ用の穴を開けたアクリルのケースに収めています。配線図は項目11

にあります。

 

画像② ボタンの配置と機能は次のとおりです。

        1段目:  「++」 「+」「-」「- -」
        2段目:       「↑」
        3段目:    「←」  「→」
        4段目:       「↓」

        5段目:「送信機reset」「空き」 「cls」 「enter」
        6段目:「本体reset」 「start」 「stop」「send」


 13.開発環境と送信機プログラム


情報源:「世界の定番ARMマイコンSTM32ディスカバリ」島田義人著(CQ出版)

私のプログラム開発環境は「EmbeddedWorkbench for ARM」(IARシステムズ)の無償評価版です。IARシステムズのウェブサイトからダウンロードできます。  http://www.iarsys.co.jp/

これひとつで、C言語を使ってプログラムを作成、コンパイルして機械語に変換し、マイコンにダウンロードするまで一貫して行えます。上記は、「STM32 Valueline discovery」専用の入門書で、非常にわかりやすくお世話になりました。 

 

情報源:「STM32マイコン徹底入門」川内康雄著(CQ出版)   http://miqn.net/ 

上記は、プログラムに必要なほとんどすべての事項が網羅され、かつ内容が詳細で、これまた大変お世話になりました。ただし、「STM32」シリーズすべてが対象で「Valueline discovery」専門ではないので注意が必要です。同書推奨の開発環境は「Eclipse」ですが、私には難しくて使えませんでした。

 

送信機のプログラムは、上記「徹底入門」に掲載されている「USARTを利用したシリアル通信」のサンプルプログラム「usart_toggle_led_by_serial」を下敷きにし、液晶表示・受信割り込み・外部割込みなどを追加して作成しました。左の「プログラム」をクリックし、「ファイルを開く」でリンクが開きます。なお、掲載しているプログラムは「main.c」のみです。実際に動かすには、周辺の付属ファイルが必要です。試される場合は、川内康雄氏のHPから「usart_toggle_

led_by_serial」の全ファイルをダウンロードし、「main.c」のみ差し替えるのが良いかと思い
ます。
プログラムの流れは、受信待ちルーチンが基本で、本体からデータを受信すると液晶画面に表示します。各ボタンを押すと外部割り込みが働いて、ボタンごとの処理関数に飛ぶようになっています。


  14.本体プログラム


 本体プログラムの中心部分は、上記「徹底入門」に収録のサンプルプログラム「tim3_pwm_rc

_servo_32ch」からいただきました。マイコンのタイマー機能を使い、最大32個のサーボを同時に制御できる優れものです。これに、受信割込み・送信割り込み・受信データ解析ルーチン・モーションデータなどを追加しています。

 

左の「プログラム」をクリックすると、ファイルが開きます。掲載しているプログラムは「main.c」のみです。プログラムの流れとしては、送信機から送られてくる「データ」により「モード」と必要な数値を設定し、次に送られてくる「命令」により動作を行います。「データ」の先頭には識別子として「ROBO」の4文字がついており、1文字目が「R」のとき「データ」として認識します。

 

識別子以下は、「モード」「モーション番号」「スピード」「繰返し回数」となっており、解析してそれぞれの変数に収容します。命令は「start」「stop」「reset」「test data」「action data」の5種類で、それぞれ識別子「A」「B」「C」「T」「S」で見分けられます。例えば、本体が「モーションモード」のときに「start」命令を受けると、専用の関数「move」に飛びます。「move」はサーボを動作させる関数で、あらかじめ受信していた「モーション番号」「スピード」「繰返し回数」に従い、各サーボが動き所定のモーションを実行します。


 15.モーション


2号機は、パラパラ漫画と同じように少しづつ異なる「ポーズ」を次々にとることによって、あたかも動作をしているように見せています。「モーション」は、「ポーズ」をつないだ「動きのパターン」で、基本的に繰り返すことが可能な一連の動作、ということができます。「モーション」のデータは、本体プログラムの中に三次元配列「motion [x][m][n]」として置いています。「x」はモーションの番号、「m」は当該モーションに含まれるポーズの数、「n」はサーボモーターの数です。2号機のサーボは23個ですが、欠番である19番サーボのデータもダミーとして持っているので、「n」は24となります。

 

左の画像はモーションの4番目「足踏み」のデータです。データの最初の行は、プログラムをコントロールする数値を置く場所で、左から順に「全体の行数」「繰返し動作開始行」「終了動作開始行」「繰返し回数」「スピード」です。2行目以下が角度データです。


 16.操作モード


 ①モーションモード

  ②テストモード

    ③ストップモード

  ④アクションモード

2号機の操作には4つの「モード」があり、送信機から選択します。

画像① 登録されたモーションから1つを選んで動作させる、もっとも基本的なモードです。メイン画面で「モード」を「1」、「モーション番号」を任意に設定して「送信キー」を押すと、あらかじめ設定されている標準的な「スピード」と「繰返し回数」が返信され、所定の欄に表示されます。これを必要に応じてを修正し、「送信キー」を押すとスタンバイ状態となり、「startキー」を押すと動作を開始します。

 

画像② 23個のサーボ毎に動作角度を設定し、実際に「ポーズ」を取らせてその適否を確認する、モーション開発のためのモードです。メイン画面で「モード」を「2」に設定し「送信キー」を押すと、本体が「テストモード」となり、スタンバイします。「enter」キーを押すと角度データを入力する専用の画面が開きます(左の画像)。動かしたいサーボの入力欄に角度を入力します。入力が終了し「送信キー」を押すと、指定したサーボが指定した角度まで動作し、「ポーズ」を取ります。角度を修正し、再度「送信キー」を押すと、変更されたポーズを取ります。満足できるポーズができたら、角度を記録しておき、後日モーションデータに反映させます。

 

画像③ 指定したモーションを「コマ送り」で動作させ、モーションの適否を確認することにより改善を支援する「モード」です。メイン画面でモード」を「3」、「モーション番号」を設定して「送信キー」を押すと、本体が当該モーションデータ1行目のポーズを取ります。「startキー」を押すたびに次の行のポーズとなります。「stopキー」を押すと、前の行に戻ることができます。

 

画像④ 複数のモーションを好きな順番と回数で動作させられるモードです。「足踏み」2回→「歩行」3回(6歩)→「右ターン」→「歩行」2回、というような高度な?動作が可能です。モード1で、使用するモーションの「スピード」と「繰返し回数」を設定しておきます。メイン画面で「モード」を「4」に設定し「送信キー」を押すと、本体が「アクションモード」になり、スタンバイします。「enterキー」を押すと「アクションモード」専用の入力画面が開きます(左の画像)。動作させたい順に「モーション番号」を入力すると「スピード」と「繰返し回数」が表示されます。適当に修正し「送信キー」を押すと動作が開始します。 


 17.電源


画像① 主電源の「ENELOOP PRO」です。1本1.2Vの充電池で、入手が簡単、比較的安く、電流量が大きいのが気に入っています。最初に買ったときは「SANYO」でしたが、何回か購入するうちに合併されて「Panasonic」となりました

 

画像② 当初は4本で4.8Vとしていましたが、トルクが不足気味だったので、途中から5本で6Vに変更しました。単3形5本の電池ホルダーをずいぶん探しましたが見つからず、4本用のホルダーに1本用ホルダーを連結しました。 

 

画像③ マイコンの暴走対策の電源として、単4乾電池2本を搭載しています。当初単3でしたが、減量のため単4に変更しました。 


 18.部品表


名称 型番 単価 個数 入手先
 サーボモーター  MG996R1  1,089  18  アマゾン
   SG92R    3  秋月電子
 マイコン  STM32VL    2  秋月電子
 無線モジュール  XBee ZB(wire)  1,940  1  秋月電子
  XBeeZB(U.FL)  1,940

 1

 秋月電子

外部アンテナ 2.4GHZアンテナ  

 

 秋月電子
液晶表示器 ZY-FGD14427    1  アイテンドー
音声合成LSI ATP3012F6-PU

900

 1 秋月電子
スピーカー S28G10K15

580

 1  マルツ
LED        秋月電子
充電池      9   ケーズ電器
乾電池      2  ヤマダ電器
アルミ板 1.0x300x400mm      モノタロウ
  0.8x200x300mm      モノタロウ
ビス・ナット        ビバホーム
軸受け        モノタロウ 
カレイナット 2mm      モノタロウ
 ロッドストッパー        田中模型

 19.工具


画像① 「ポケットベンダー」です。株式会社エンジニア製の金属曲げ工具です。エッジが42°の鋭角になっていて1.5mm厚、50mm幅までのアルミ板をきれいに曲げることができます

(3,149円 アマゾン)。

 

画像② 自作ベンダーです。ポケットベンダーは良くできたツールですが、50mm以上の大物には使えず、箱型の折曲げも苦手です。そこで4.5mm厚S45Cの鉄板を使いベンダーを自作しました。工場に依頼し、44mm幅と22mm幅の鉄材の片側を43°のエッジ状に削ってもらい、切断と穴あけは自分で行いました。ベンダーは、270x44mmの部品A 2枚、270X22mmの部品B 2枚、22mm幅で長さが20mmから100mmまで10mm刻みの部品Cからなります。折り曲げ対象物を裏表から挟さみ、折り曲げ線上でエッジ同士を突き合わせてクランプで固定し、クランプの腕を持って折り曲げます。部品Cは箱構造の折り曲げの際、箱の内側で使います。後日、DIYでニッケルメッキを施しました。

 

 画像③ 「ハンドニブラー」です。株式会社ホーザンのアルミ切断工具です。くり抜きたい場所に8mm径程度の穴を開け、ニブラーの頭を出して周りのアルミを噛み切ります。「噛む」といっても刃の切れ味が良く、切り口が変形するようなことはありません。

 

 画像④ 「オシロスコープ(06204KPL JYE Tech社)」です。秋月電子でキットを4,700円で買って組み立てたものです。ロボット作りでは、信号の波形を見たい場面がたまにあり、大変重宝しています。キット組立時には、画面がまったく表示されないというトラブルがありましたが、下記HPから入手した正常電圧チェック表のおかげで解決に至りました。「8550」という表面実装トランジスタの不良を突き止め、これを取り外して、手持ちのトランジスタ「2SA1015」に交換し、見事機能回復させたのは今でも自慢です。もう4年も立派に働いています。 

  「PICでなんか作るばい」 http://tylercsf.blog123.fc2.com/blog-category-16.html

 

画像⑤ 「はかり」です。1gから3Kgまで量れるので、ロボット製作には最適です。