最終更新年月:2020年4月17日


ミニ鉄道(工事中)

Kazutaka  Nagai



テーマ  庭に5インチゲージの大型鉄道模型を走らせる
 特    長  

 線路・車輪・モーター・コントローラー以外はほとんど手作り 子供2人、または

大人1人を乗せて走行 貨車には「1軸台車」を装備、急カーブも円滑に走行

諸    元

線路幅:130mm 線路総延長:45m(予定) 最小カーブ半径:1m

保有車両:4両(DL機関車・有蓋貨車・無蓋貨車・車掌車)

製作年: 2018年~ 現在


 1.プロローグ


小さなころから鉄道、特に線路が大好きで、工事現場や工場でトロッコの線路を見ただけでドキドキするような子供でした。人生も終盤になり、ネットで「庭園鉄道」という趣味があることを知りました。庭に線路を引き回し、模型の機関車に乗って楽しんでいる人を見て、うらやましいと思う一方、我が家の狭い庭では夢のまた夢とあきらめていました。同じ記事で、「モデルニクス」というメーカーが、同一規格の色々な線路を組み合わせてネジでつなぐだけでレイアウトが作れる、という製品を販売していることを知りました。

しかも最小の曲線半径が1mとのこと、2m四方でエンドレス(円形線路)が作れます。

庭の広さを測ってみると、十分いけるではありませんか。それから1年ほど、CADで描いた図面を眺めては悶々としていましたが、ついに夢の世界に飛び込む決心をしました。


 2.プラン


まず用地を正確に測量しました。南側の庭のうち使える部分がおよそ4x3m、西側の60cm幅の通路が約12m、玄関前の駐車スペースが3x3mというところです。建物を周回する案も検討しましたが、東側の通路が狭く、エアコンの室外機、ベランダを支える柱など障害物が多いので断念しました。「モデルニクス(以下モ社)」の規格に従い、設計したのが、左の図面です。3次の計画に分かれています。

第一次計画:庭に変形エンドレス線を作る 二次計画:ポイントで分岐させ、西側通路に引き込み線を作る 三次計画:玄関前に折り返しのループ線を作る

これが完成すれば、庭と玄関の間で連続運転が可能となります。


 3.入門セット


モ社の「入門セット」を紹介します。ちょっと宣伝くさいですが、これがあったのでミニ鉄道を始める気になりましたし、これがなければ構想実現は困難だったと思います。

「入門セット」は、機関車と客車の製作に必要な最低限の部品と線路を組み合わせた商品です。「A」と「Am」の2種類があり、付属する線路の長さ(30mと15m)に違いがあります。当初「A」セットを購入し、その後「Am」を追加で購入しました。 価格は、Aが約15万円、Amが11万円でした。オプションの「2段減速・2輪駆動」用部品は、カーブのきついレイアウトでは絶大な効果があるので、是非お勧めします(11,000円)

           <セットの内容>

 ・曲線線路と直線線路を自由に組み合わせて、30mまたは15mまで

 ・輪軸(2つの車輪が車軸で連結されたもの)4組

 ・軸受 8個  連結器ソケット 4個

 ・モーターとコントローラー

 ・減速歯車とチェーン 説明書と必要なネジ類

車両の床板や躯体、バッテリ-・充電器などは付いてきません。材木を切断し、穴を開けて部品を取り付け、ベニヤで車体を作るなど、楽しい作業が伴います。


 4.車両製作の構想


とりあえず機関車の車体(ほとんどが木とアルミ)を作ってみて、うまくいったら「入門セット」を購入することにしました。途中で挫折しても最小限の損害で撤収することができる、という気弱な(堅実な)方針です。家族の説得にも効果がありました。

まず、モデルになる車両を探します。モ社HPの説明では、固定軸車の場合、車体の長さは500mm程度、幅は350mm以内、軸間(前輪と後輪の距離)は短いほど良く、カーブ半径の3分の1といいますから、当レイアウトでは330mm以下となります。JR在来線の軌間は1067mmです。5インチゲージの線路幅は127mmなので、縮尺は8.4分の1(1067/127)となります。指定の寸法を8.4倍して実車サイズに換算してみると、長さ4.2m、幅2.9m、軸間2.8mとなります。大好きな大型の電気機関車などは車長が12m以上あり、とても無理です。車長4mというと、入れ替え用の小型ジーゼル機関車ぐらいしかありません。これはこれで好きなので、あれこれ調べて「KATO7t」を作ることに決めました。


 5.機関車の製作


「KATO7t」に決めたものの、参考にする図面が見つかりません。某模型メーカーのHPで

Nゲージの小さなイラストを見つけ、拡大コピーして採寸しました。できあがった設計図です。ホームセンターの半端材コーナーで、床板に使えそうなコンパネを入手し、2枚にカットしてもらいました(①250x564x15mm ②282x650x15mm)。②は近い将来製作する客車用です。寸法に自信がなく、ボール紙でプロトタイプを作って、確認しました。

機関車の外壁は4mm厚のベニヤ板です。角材で補強し、木工ボンドで接着して基本構造としています。ボンネットと屋根は2mm厚のアルミ板です。角を丸めるのに苦労しました。工作の詳細はブログをご覧ください。両脇のサブトランクや下周りは、あまり強度が要らないので、1mm厚のアルミ板で作っています。前面のグリルは、3mm径のアルミ棒を折り曲げ、木枠に埋め込んでいます。少し赤色を混ぜた黄色で塗装しました。良い感じです。 



 6.動力部の工作


車体の製作が思いの外うまくいったので、思い切って「入門セットA」を発注しました。注文から2週間くらいで届きました。線路の分量と重さは半端ではなく、搬入と置き場所に苦労しました。ホームセンターでバッテリーと充電器を調達し、早速に工作に取りかかります。床板に30x40mmの角材を平行に取付けて、スペーサーとします。角材に軸受をネジ留めし(軸間204mm)、輪軸をはめればトロッコの完成です。室内に線路を敷き、初走行を行いました。モーターの取付は簡単ではありません。車体の構造との関係から、床板の上に設置すると決めたので、動力を伝えるチェーンの通り道に穴を開けます。チェーンの張り具合を見ながらモーターの位置を調整します。オプションの「2段減速・2輪駆動」を導入したので歯車が多く、これは後日の作業ですが、前後の輪軸の間に別のチェーンも取付けました。線路に乗せて、コントローラーのつまみをひねると、力強く動き出しました。車体を乗せて走らせると、これはもう至福の時間です。



 7.有蓋貨車の製作


機関車ができると連結する車輌が欲しくなります。構想では、外観は貨物車、上物を外すと座席が現れるという車輌なので、これを「貨車」と呼ぶか「客車」と呼ぶか迷うところです。子供2人または大人が乗るとなると、車輌の長さは600mm以上になります。車体を安定させるため、軸間を広げる必要もあります。固定軸では半径1mのカーブを通過できないのは明らかなので、次項でご説明する「一軸ボギー台車」を採用することにしました。

貨車の床板を650x282x15mm、軸間は350mmとしました。8.4倍すると車体長は5.5m程度となります。今回は、様々な鉄道車両の図面を公開している親切なサイトを見つけたので、色々な貨車を比較検討することができました。「ワム」系は全長8mもあるので不可、「ワ」系なら6m程度なので「ワ10000」に決定し、設計図を描きました。外壁は、機関車と同じく4mm厚のベニヤです。屋根は2mm厚のボール紙を丸めて作りました。扉のレールや外壁の桟は、アルミのチャネルを活用しました。塗装は油性ペイントを使い、紙やすりで磨いて二度塗りしました。



 8.一軸ボギー台車


急カーブで車輌を滑らかに走行させるには、「2軸ボギー台車」にするのがベストです。「2軸ボギー台車」は、車体の前後に自由に回転する「台車」を備え、それぞれの台車に2組の輪軸(車輪は4個)を取付けた走り装置です。カーブ通過の際には、2つの台車がそれぞれカーブの中心を向き、車輪がレールと平行になるので滑らかに走行できます。

しかし、1車輌あたり輪軸が4組、車輪が8個となり、構造が複雑になるとともに費用がかさみます。これを解決するのが「1軸ボギー台車」です。1台車につき輪軸が1組(車輪2個)だけですが、ほとんど同じ効果を発揮します。

輪軸1組を取付けた台車を太いボルト(M12)で床板に連結し、4個の戸車で支えて水平を保ちます。このままでは、台車が勝手に回転するので方向が定まらず、すぐに脱線してしまいます。そこで、連結棒を台車に直付けし、反対側を機関車にネジで連結することにしました。こうすることにより、機関車がカーブに進入したときに連結棒がカーブ方向に曲がり、直結された台車が回転してカーブの中心方向に向き、円滑に進行することができます。機関車が直線区間に進むと、連結棒と台車はまっすぐ前を向きます。

この場合、連結棒の長さが重要です。試行錯誤した結果、半径1mのカーブを通過するとき台車が9°回転するよう、長さを設定しました。さらに、前後の台車をたすきがけのリンクでつなぎ、後ろの台車が逆方向に回転し、同じくカーブの中心を向くようにしました。

試験走行してみると、とても滑らかにカーブを通過しました。欠点としては、バック運転が苦手、単独走行ができない、自由な編成替えができないなどです。自車輌の長さと直前の車両のオーバーハングの寸法により、連結器の長さを調整する必要があるためです。



 9.無蓋貨車の製作


有蓋貨車の次は無蓋貨車を作ります。追加購入した「入門セットAm」に付属してきた客車用輪軸を使います。下周りの寸法は、有蓋貨車とまったく同じで650x282x15mm(軸間350mm)です。もちろん「一軸台車」も装備します。このサイズで可能な実車を探すと、「ト1」形式が見つかり、設計図を描きました。4mm厚の外壁床板に直付けしたので、取り外しはできません。図面と写真を参考に、2mm厚7mm幅のベニヤの短冊を2mm間隔で貼りつけました。アルミの桟を2Mのネジで取付け、木造外壁の実車の雰囲気を出しました。この車両は、重量物やポリタンクを運ぶなど、唯一実用車になるかもしれません。



 10.車掌車の製作


4輛目の車輌は、編成の最後に連結する車掌車です。この車両には、入門セットAmに付いていた機関車用の輪軸を使います。将来動力車に改造することも視野に入れて固定軸車とし、車長は650mmですが、軸間300mmと短か目にしました。ベニヤと角材を使った基本構造は、他の車輌と同じですが、両端にアルミチャネルを使った開放的なデッキを設け、窓ガラスをはめるなど、ディテールに凝っています。モデルは「ヨ6000」系ですが、実車の車長が長いので、「スケールショーティー」手法を使って、前後方向を縮めたデザインとしています。



 11.ポイントの製作


車輌の進む方向を振り分けるポイント(分岐器)は、レイアウトには必須です。モ社で既製品を購入することもできますが、1機10万円もします。これは自分でつくるしかありません。700mmの直線線路と半径1m 45°の曲線レールを重ねてみて、重なる部分を切り取り、組み合わせて作ることにします。モ社の線路は非常に精密にできているので、CADで設計図を描いて、正確に切断することができました。はめ込むのは大変でしたが、知恵の輪のようにあれこれ試しているうちに、偶然入ってしまいました。トングレール(先端の可動部品)はグラインダーで削りました。取りあえず、右折用と左折用の2機が完成しました。これでリーバース線を2つつないだ連続運転のコースが作れます。



 12.レイアウト作り


花壇の中の梅の木を伐採し、鉄道用地を切り開きます。土を踏み固め、砂利と砂を投入しレンガを敷いて道床を作りました。道床ができれば、線路の設置は簡単です。計画通りの長さの線路を、ジョイナーとネジでで連結すれば形になります。取りあえず、変形円形のコースができました。



 13.試運転


K




カウンター カウンター

アクセスカウンター