最終更新日 2016年9月20日
3.液晶ディスプレイ
kazutaka nagai
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テーマ | 漢字対応液晶表示器を自作する |
特 長 |
480 x 272 ドットの大画面、3,000 文字のフォントを内蔵し漢字表示可、SDカード で大量の画像を表示、テニスゲームとInvaderゲームのデモ、赤外線で無線操作 |
諸 元 |
液晶表示器: XIAMEN ZETTLER社製「ATM0430D5」 コントローラー:EPSON社 「S5U13781R00C100」マイコン:STマイクロ社製「STM32Value line discovery」 電源:「eneloop pro」4 本 4.8V 製作年:2013年 |
1.プロローグ
このディスプレイを製作する前に、「ZY-FGD1442701V1」という小型TFTカラー液晶表示器を使ってみました。情報源とスペックは下記のとおりです。
情報源: HP「電子工作室」 TFTカラー液晶の表示制御
http://www.picfun.com/PIC24F/AP/app24F11.html
HP「ST32マイコン徹底入門」サポート 川内康雄氏
http://miqn.net/periph/30.html
仕様: 1.44インチ TFT液晶モジュール 表示ドット数:128x128
表示面サイズ:26.5mmx25.5mm 価格:1,200円 発売元:アイテンドー
この液晶は、コントローラーが本体に組み込みになっているため、取り扱いが簡単で表示もきれいでした。おかげで液晶のコントロール、ビットマップファイルの扱い、SDカードの利用法を勉強できましたが、なにしろ画面が小さく見にくいので大型の画面に挑戦したわけです。
2.本体構造
情報源: HP「製品情報」EPSON社 ドキュメントダウンロードページ
http://www.epson.jp/prod/semicon/products/download/lcd_controllers.htm
EPSON社から画期的な液晶コントローラーが発売され、480 x 272 ドットの大画面も制御可能との情報があり、同社お勧めの液晶表示器とともに購入しました。部品の構成は次のとおりです。
CPU「STM32 Value line discovery」 + TFT液晶モジュール「ATM0430D5」
液晶コントローラー「S5U13781R00C00」+ SDカードスロットおよびカード
赤外線通信受信機 + バッテリー + プラスチックケース( 18 cm x 9 cm x 4.5 cm)
EPSON社のデモンストレーションガイドのとおりに結線し、同社提供のプログラムをインストールしたところ、デモ画面を確かに表示できました。しかし、特殊な方式が多用されていて私には理解ができず、それ以上の応用が困難でした。そこで、各方面から情報を集め、試行錯誤の結果、とりあえず納得のゆくものができました。部品の構成はあまり変わりませんが、中身は後述のとおり大幅に変更となっています。
3.TFT液晶モジュール
XIAMEN ZETTLER社製「ATM0430D5」
表示ドット数:480 x 272 表示面サイズ:95 mm x 54 mm 4.3 インチ
駆動:TFTアクティブマトリクス インタフェース:RGB(24 ビット) 電源電圧:3.3V
価格:3,000 円(秋月電子)
表示面積は「ZY-FGD1442701V1」の 7.6 倍となります。
4.液晶コントロラー
EPSON社製 「S5U13781R00C100」
供給形態:基盤(ボード)70 mm x 60 mm 接続:8 / 16 bitパラレルバスおよびシリアル(SPI) IC:S1D13781 Flashメモリー:16 Mbit 電源電圧:3.3 V
価格:2,980 円(秋月電子)
5.マイコン
STマイクロエレクトロニクス社製 「STM32 Value line discovery」
クロック:最高 24 MHz フラッシュ:128 Kバイト RAM:8 Kバイト 基板:80 mm x 40mm 価格:1,200
円(秋月電子)パソコンでプログラムを作成し、USBケーブルでつなぐだけでマイコンにプログラムをダウンロードできます。デバッガSTーLink付き。
6.プログラム
情報源: HP「測定器の自作ーグラフィック液晶の制御法と回路」 細田氏
「STM32マイコン徹底入門」川内康雄著(CQ出版社)
HP「製品情報」 EPSON社 ドキュメントダウンロードページ
液晶コントローラー「S5U13781R00C100」に関する情報は少なく、ましてや「STM32Valueline discovery」との組み合わせの製作記事は皆無でした。上記細田氏のHP「制御法と回路」においてBASCOMーAVR(ATMega 168)と組み合わせたプログラムを見つけ、BASCOM用のプログラムを「STM32 Value line discovery」用に移植し、「ATM0430D5」につないだところサンプル画像を出すことができました。
さらに上記「徹底入門」からSDカードシステムをいただき、フォトフレーム風に好きな画像を表示することができるようになりました。しかし、画像表示の速度が遅く不満でした。そこで、EPSON社のHPから入手したテクニカルマニュアルを何度も読み、データ転送方式をSPIからインダイレクト8ビットに変更することにより、何とか実用的な表示速度となりました(動画1)。
その後はプログラムを拡張し、16
ドットの漢字表示(画像②)、テニスゲームとインベーダー風のゲーム(動画2)、赤外線通信によるリモコン、小画面での動画(動画3)も実現できました。
左にメインプログラムとSDカード用のデータを添付しました。ファイルを軽くするため画像データはほとんど削りましたので、画像表示は「サブメニュー2.動物」のみ可能です。漢字フォントデータが重く、圧縮しても1 Mバイトほどありますのでダウンロードに時間がかかるかもしれません。includeファイルは「徹底入門」サポートHPで入手できると思います。
7.漢字フォント
情報源: JISX0213(所謂第3,4水準漢字)用bdf フォントのページ
上記「フォントのページ」よりJIS第一水準2,965 文字の16 ドットフォントデータ jiskan16-2004-1.bdf.gz(303,930バイト)をいただき、自己流で加工してSDカードに収容しています。プログラム中、「lcd_Str16()」という関数は、()内の漢字まじり文字列のコードを読み取り、SDカード内の漢字フォントデータを取り出し、画面に表示しています。自慢の関数です。
8.SDカード
情報源: 「STM32 マイコン徹底入門」川内康雄著(CQ出版社)
使い方および基本的なプログラムは、上記「徹底入門」からいただきました。著者によれば、中心となるFAT 16
ファイルシステムを利用できるのは、ChaN氏とMartinThomas氏がそれぞれ開発し無償公開してるソフトウェアのおかげとのことです。感謝。FAT 16 で利用できるSDカードは 2 ギガまでですが、私には広大な空間と感じられ、今のところこれで十分です。
9.赤外線通信
情報源: HP「電子工作のテスト工場」天姫氏 「PICで赤外線通信」
送信機・受信機ともAVRマイコン「ATtiny2313」(@150
円秋月電子)で動いています。送信機には赤外線LED、受信機には赤外線リモコン受信モジュール「PL-IRM2121-A538」(100 円秋月電子)を使用しています。 プログラムは上記HPから「PICで赤外線通信」をいただき、PIC用をAVRに移植のうえ 3チャネルから 8
チャネルに改造しました。配線図は上記「2.本体構造」の配線図の中にあります。送信機は前節二足歩行ロボット用と共用です。電源は単 3 型 1.5V 乾電池 2 本です。
10.バッテリー
SANYO(Panasonic)製ニッケル水素電池「eneloop pro」(単 3 1.2V 2450mAh)4 本を使用しています。